日本脳炎と日本脳炎ワクチン

 日本脳炎は、日本脳炎ウイルスに感染しても発症する人は1%以下と考えられています。
しかし、一度脳炎になってしまうと1/3の人が命を落とし1/3の人は後遺症を残します。脳炎に対しては特別な治療法がなく、ワクチンが唯一の予防手段となります。
日本脳炎患者の数は、1992年以降日本では10人以下で続いていますが、海外では南アジアを中心に流行を繰り返していますのでまだまだ油断のできない病気です。
日本脳炎は、日本では主に「コガタアカイエカ」が飼育されている豚に感染し、感染した豚を刺した蚊がほかの豚を感染させ、感染した豚が広がります。そしてウイルスをもった蚊が人の血を吸うときに出す唾液によって人に日本脳炎ウイルスが感染します。 このように日本脳炎は人から人には感染しませんので、ワクチンは集団というよりも個人的な防衛の手段となります。
最近日本脳炎のワクチンは、ADEM(急性散在性脳脊髄炎)の問題によって接種が実質的に中止される状態になりました。
ADEMの原因としては、
@日本脳炎ワクチンによるもの。
A麻疹や水痘などのウイルス感染によるもの。
B原因不明。
の三つがあります。
ADEMあるいはADEM様の病気は、100〜200万人に一人発生していますが、この中でワクチンが原因であるADEMが実はどのくらいの割合をしめているのかまったくわからないのが現状です。
しかし1998年に中学生が日本脳炎ワクチンを受けた1ヶ月後にADEMを発症したことを重くみて、日本脳炎のワクチンの積極的な接種は現在中止になっています。
そして、新しいワクチンが現在開発されつつあり2・3年後にはうてるようになると思われます。
今までのワクチンは、マウスの脳を利用して造られていたため、このマウスの脳の成分がADEMの原因の一つであると考えられますので、新しいワクチンはマウスの脳を利用しない方法を使っています。
しかし新しいワクチンがADEMを起こさないという保証はまったくありません。 もしマウスの脳と関係なく現在のADEMが起こっているとするならばそして、日本脳炎ウイルスそのものがADEMと関係しているとすれば今後作られる日本脳炎ワクチンも同じようにADEMをおこす可能性が考えられるのです。