■ 突発性発疹◎コロナ流行下でも患者が減らない理由 |
2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、小児科定点把握疾患の報告数は軒並み少なかった。そんな中、例年並みの報告数を維持したのが突発性発疹だ。 なぜか。「突発性発疹の主な伝播経路は唾液を介した家族内感染。そのため、COVID-19流行下でも発生頻度が変わらなかったのではないか」と話すのは新潟大学小児科教授の齋藤昭彦氏だ。突発性発疹の原因病原体であるヒトヘルペスウイルス6B(HHV-6B)とヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)はいずれもヘルペスウイルス科βヘルペスウイルス亜科に分類され、これらのウイルスに感染すると生涯にわたり体内に潜伏し、唾液を介して感染する。 突発性発疹は乳幼児期に発症する発熱発疹性疾患で、一昔前までは「生まれて初めての発熱=突発性発疹」と考えられていた。だが、この20年で発症年齢分布は大きく変化し、2000年に77.1%を占めていた1歳未満の割合は2020年には31.3%に減少。「生まれて初めての発熱=突発性発疹」ではなくなっている。 1歳未満で発症が減少している理由について齋藤氏は、あくまで推測と前置きした上で、2つの可能性を挙げる。一つは、離乳食を口移しで与える機会や出生数減による子ども同士の接触機会の減少など、乳児への唾液を介した感染頻度が減っていること。もう一つは、保育所などに通う乳児が増加し、様々な感染症に曝露されることで自然免疫が活性化され、HHV-6B/7の感染防御にもつながっている可能性だ。 突発性発疹の症状は、年齢が上がっても大きな変化がないと言われている。齋藤氏は「高熱なのに全身状態が比較的保たれ、感染源が明確でない場合は突発性発疹を疑ってほしい」と語る |