■ 成人に対する破傷風・ジフテリアワクチンの追加接種は不要 追加接種による有意な罹患率の低下なし 国際医学短信2020年4月9日 (木)配信



 破傷風とジフテリアの予防接種において、成人への追加接種を定期的に行っている国で、両疾患への罹患率に有意な低下が見られないとする報告が、「Clinical Infectious Diseases」2月25日オンライン版に掲載された。

 世界保健機関(WHO)は、破傷風とジフテリアについては小児期の予防接種完了後の追加接種を推奨していないが、多くの国で追加接種が行われている。米オレゴン健康科学大学のAriel M. Slifka氏らは、2001〜2016年のWHOの症例報告を基に観察コホート研究を実施。北米および欧州31カ国における破傷風およびジフテリアの罹患率を、成人への追加接種を推奨している国および推奨していない国とで比較した。

 その結果、5〜20年ごとに追加接種を行っている国の破傷風罹患率は、追加接種を行っていない国と比較して有意な低下は見られなかった(P=0.52、リスク比0.78、95%信頼区間0.36〜1.70)。成人への追加接種を行う国について、接種率が低いラトビアを含めた場合は、ジフテリアへの罹患リスクが高かった(P<0.001)が、ラトビアを除外した場合は、追加接種を行う国と行わない国で、ジフテリア罹患率の差は見られなかった(P=0.26、リスク比2.46、95%信頼区間0.54〜11.23)。

 Slifka氏らは、「破傷風およびジフテリアの成人に対する予防接種に関してWHOのガイドラインに従うことで、ワクチン接種に伴う有害事象数を減少させ、小児の定期接種実施に成功している国ではその財源を脆弱な人々に向けることができる」と述べている。

HealthDay News Physician's Briefing 2020年2月27日
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