■ ヒト感染可能性 未知のウイルス82万7000種 「パンデミック増え拡大加速も」 | 11/5(木) 17:09配信 |
毎日新聞 自然界には、最大82万7000種類のヒトに感染する可能性を持つ未知のウイルスが存在するとの分析結果を、世界の科学者が参加する政府間組織「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)が公表した。 新型コロナウイルスを含め過去にパンデミック(世界的大流行)を起こした感染症はほとんど、動物とヒトがともに病原体に感染する「人獣共通感染症」だった。IPBESは「(野生生物の取引を減らすといった)予防策を取らなければパンデミック発生の頻度は増え、感染拡大のスピードもより速くなる」と警告する。 生態系やウイルスの専門家ら22人が参加し、論文や国連機関の報告書など700以上の資料を分析してまとめた。 その報告書によると、哺乳類や鳥類が保有する未知のウイルスは170万種類と推定され、うち63万1000〜82万7000種類はヒトも感染する恐れがある。ヒトの間で毎年五つ以上の新たな感染症が起こっており、パンデミックのリスクは急速に高まっている。 森林伐採をはじめ土地利用の変化や、食用や薬用のための取引・消費などによって、野生生物や家畜、ヒトの間で接触が増えているのが原因だという。 人獣共通感染症による経済的損失は、新型コロナ以前でも毎年1兆ドル(約105兆円)以上に上っていたとみられる。新型コロナに関しては国内総生産(GDP)の縮小などで、その損失は今年7月までに8兆〜16兆ドル(約840兆〜1680兆円)に達すると推計される。一方、野生生物の取引や土地利用の変化を抑制するなど、パンデミックを予防するためのコストは177億〜269億ドル(約1兆8514億〜2兆8137億円)で済む可能性がある。 報告書はパンデミック防止に向け、各国に必要な情報を提供する政府間組織の立ち上げや、消費や農業、貿易の抜本的見直しなどを提言。議長を務めた米非営利団体「エコヘルス・アライアンス」代表のピーター・ダザック博士は「我々は新たな感染症が起こってから封じ込めや制御をしようとしているが、予防にもっと焦点を当てた取り組みが必要だ」と指摘する。【大場あい】 |