■ 感染力の強い「ロタウイルス胃腸炎」 脳炎で後遺症のリスクも…10月定期接種化 9/21(月) 14:12配信











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 ロタウイルスワクチンが、2020年10月から定期接種になります。もっとも、11年からは、日本でも任意接種となっており、ロタウイルス胃腸炎が激減しているのを小児科医としても実感しています。今回の定期接種化で、これまで有料だったロタワクチンが無料となるため、さらに多くの赤ちゃんが守られることになります。今回は、ロタウイルス感染症とロタウイルスワクチンについてお話をします。



世界で年間約20万人の乳幼児が死亡


乳幼児期にかかる病気として、よくあるもののひとつが胃腸炎です。胃腸炎の原因には、ウイルスや細菌などがありますが、特に注意しなくてはいけないのがロタウイルスによる胃腸炎です。この胃腸炎は非常に感染力が強く、世界中の全ての子どもが一度はかかる感染症といわれています。ロタウイルス性胃腸炎は他の胃腸炎より重く、特に初めてかかった場合に重症化しやすい特徴があります。途上国では、5歳以下の子どもの主要な死亡原因のひとつで、年間に約20万人もの乳幼児が、ロタウイルス胃腸炎で死亡しているという報告もあります。 1)

 ロタウイルス胃腸炎とはどのような病気なのでしょうか。

 発症のピークは、生後6か月〜2歳です。ほぼ全ての乳幼児が3〜5歳までに感染し、発症するとされています。 2) この感染症は、1回かかっても、一生続く免疫を得ることができません。したがって、繰り返し感染します。ただし、何度もかかると次第に症状は軽くなっていきます。



脱水症、けいれんや脳炎に注意
 感染すると1〜2日の潜伏期の後、下痢、嘔吐(おうと)、発熱、腹痛などの症状が出現します。この病気は自然に回復しますが、ノロウイルスなど他の胃腸炎より症状が重いことが多く、治るまでに1週間くらいかかることも少なくありません。脱水症にもなりやすく、けいれんや脳炎などの合併症にも注意が必要です。よく白色便がみられると言われます。便が白っぽくなる理由は、肝臓から腸に排出されたビリルビン(便の色が黄色くなる原因です)が便に混じる暇もないくらい、下痢が多いためです。したがって、ロタウイルス以外のウイルスでも、下痢がひどい場合には白い便がみられることがあります。

 特効薬はなく、下痢や嘔吐などに対する対症療法が中心です。ORSなどの経口補水液、点滴、整腸剤の内服などで治療します。なお、ウイルスですので、細菌を退治する抗菌薬は効果がなく、乳幼児は下痢止めも原則、投与すべきではないとされています。