■ 米国でCOVID-19にレムデシビルが使用許可2020/05/03















 ギリアド・サイエンシズは2020年5月1日、同社が開発中の抗ウイルス薬レムデシビルについて、米国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院中の重症の患者に対して緊急時の使用許可を取得したと発表した。あくまで緊急での使用許可だが、COVID-19の治療薬が認められるのは初めて。

 レムデシビルは、もともとエボラ出血熱など新興感染症の治療薬として開発が進められてきた抗ウイルス薬で、ウイルスのRNAポリメラーゼを阻害する。現在、ギリアド自身の他、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)など複数の機関によってCOVID-19に対する臨床試験が進められている。ギリアドが行っている臨床試験では、5日投与群で64.5%(129例/200例)が、10日投与群で53.8%(106例/197例)が臨床的回復に到達している。また、NIAIDが行った臨床試験では、レムデシビルを投与された患者は、プラセボ群比較して症状が続く期間が15日から11日に縮んだという(p<0.001)。



 今回、ギリアドが行っている臨床試験の途中経過とNIAIDのデータを受け、まだ臨床試験は終了していないものの、米食品医薬品局(FDA)が緊急使用という形で許可した。ただしあくまで一時的な措置であり、今後、ギリアドは引き続き医薬品としての開発を続けていくことになる。

 緊急時使用許可では、人工呼吸器あるいは体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とする患者には10日間投与、それ以外の患者は5日間投与を推奨する。ギリアドでは緊急時使用許可下で、14万人分、150万バイアルを無償で提供し、2020年10月までに累計で50万人分、12月までに100万人分の薬剤の確保を目指す。

 レムデシビルについて、日本でも使用に向けて医薬品医療機器等法の施行令を改正し、承認への期待が高まっている。だが、ギリアドの日本法人では、「今回の発表はあくまで米国の話。日本への供給や承認申請については話せることはない」としている