| ■ 不確実性は無視? 韓国で新型コロナPCR検査が日本の18倍も実施されるワケ | 3/19(木) 18:04配信 |
FNN.jpプライムオンライン 韓国 28万6716人(3月18日0時現在) 日本 1万5655人(3月17日12時現在) 日本と韓国で大きな差が出ているこの数字、新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査の実施数だ。日本では検査数が少なすぎるとの批判から政府は検査能力の拡大や簡易検査キットの開発など、対応を急いでいる。 ソウル在住の私の周りでは「韓国の検査は世界一」「韓国の検査体制を世界中が称賛している」との自画自賛の声が大半だ。なぜ韓国では、世界でも類例を見ない程大量のPCR検査が行われているのか、調べてみると両国の検査に対する「認識」の大きな違いが見えてきた。 . PCR検査は万能ではない 韓国の検査が多い理由としてよく上げられるのは、2015年にMERS(中東呼吸器症候群)を経験した事が挙げられる。MERSが猛威を振るった事の反省として韓国政府は以前から検査体制を充実させていたのだが、ここでは詳細を割愛する。もう一つ重要な点は、韓国ではPCR検査の判定には間違いが多いという認識が、ほとんどない事だ。 日本の複数の感染症専門医が発信している情報によると、新型コロナウイルスの感染の有無を調べる場合、PCR検査の信頼度はそれほど高くないとの評価が多い。感染している人を正しく「陽性」と判定できる割合を「感度」と呼ぶが、実際に感染者の治療を行った国際医療研究センターの忽那賢志医師は「感度は70%くらいかなと感じています」と発信している。一方、感染していない人を正しく「陰性」と判定する割合は「特異度」と呼ばれる。これは感度に比べて相当高いようだ。はっきりした数値が出せないのは、蔓延して間もないウイルスなので、データが少ないためだろう。 前出の忽那医師や静岡県立静岡がんセンターの伊東直哉医師など感染症のプロの方々が「感度」や「特異度」について分かりやすく解説して発信しているので、詳しくはそちらを参照して欲しいが、ざっくり言えば、PCR検査の結果には不確実性があり、感染していないのに陽性判定される偽陽性や、感染しているのに陰性判定される偽陰性がどうしても出るという事だ。さらに言えば、検査する対象を、感染が疑われる症状のある人に限定すれば偽陽性と偽陰性の絶対数は下がり、軽症者や無症状者を含む多くの対象を検査すればするほど、偽陽性と偽陰性の絶対数が上がるのだ。 一方、WHOのテドロス事務局長は3月16日の会見で「検査、検査、検査だ。疑わしい例は全て検査するんだ」と発言した。検査対象を広げるように呼び掛けたように聞こえるが、実はWHOはすぐさま「感染者と接触した人が症状を示した場合にのみ検査を行う事をWHOは勧めています」と表明し、軌道修正している。軽症者や無症状者を検査せず、熱が4日続くなど感染が強く疑われる人や感染者との接触者に限りPCR検査を行う日本政府の対応は、多くの感染症専門医やWHOの方針からそれほど外れてはいないように見える。 |