■ 成長期のスポーツ 過剰負荷は「骨端症」の危険…成長障害で「左右の脚の長さが違う」「肘が曲がって伸びない」1/11(土) 13:11配信







読売新聞(ヨミドクター)



子どもの健康を考える「子なび」

 子供とスポーツについて、日本スポーツ医学財団理事長の松本秀男さん(65)に聞きます。(聞き手・西原和紀)

 子供の骨には、「骨端(こったん)軟骨」というものがあるのをご存じですか。成長期に起きやすいスポーツ障害と大きく関係しています。

 骨端軟骨は骨の端にあって、骨が成長していくための軟骨です。成長期には重要な役割を担いますが、やわらかく、外からの圧力に弱いのが特徴です。繰り返し引っ張ったり、ねじったりして過剰な負荷がかかると傷ついてしまい、痛みを感じるようになるのです。「骨端症」と呼び、野球の投手に多い「野球肘」や、膝の「オスグッド病」などが代表例です。
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一つの競技に特化させない

 骨端軟骨が傷つくと成長障害が起こり、左右の脚の長さが違ったり、肘が伸びなくなったりするなど、元に戻らないような問題が生じる恐れがあります。

 また、身長が大きく伸びる時期はけがをしやすくなります。個人差はありますが、平均的なピークは男子が13歳、女子が11歳。骨と筋肉の成長速度はアンバランスで、骨よりも筋肉の方が遅れて成長するため、筋肉の柔軟性が低下するのです。

 小さい頃は一つの競技に特化させず、様々なスポーツに挑戦した方がいいでしょう。競技が一つだけだと、体の特定の部位に負荷が集中してけがをしやすく、視野も狭くなりやすいのです。米国では、子供が複数のスポーツをかけ持ちするのが一般的です。色々な競技に触れることで、将来に向けて幅広い可能性を残してあげましょう。

 子供は負けたくないと頑張りすぎ、無理なこともやってしまいがちです。大人がきちんと見ていてあげないといけません。スポーツ障害を予防するには、成長期特有の体の特徴をよく理解しておくことが大切です。
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松本秀男(まつもと・ひでお)

 整形外科医。慶応大卒。慶応大スポーツ医学総合センター教授などを経て、2019年4月から現職。