■ 授乳中の服薬、諦めないで…薬の成分、母乳への移行は微量5/15(水) 12:16配信



読売新聞オンライン







授乳中の服薬、諦めないで…薬の成分、母乳への移行は微量





 授乳中の服薬や特定の食材の摂取が、赤ちゃんの健康やアレルギーの発症に影響すると不安に感じる母親もいるだろう。近年の研究などでは問題のないケースが大半であることがわかってきたという。医師にも相談しながら薬や食事との関わりを考えたい。
 神戸市の女性(35)は昨年8月に長男を出産して以降、夜泣きや授乳のため寝不足になり、頭痛に悩まされるようになった。それでも、薬を服用すると母乳に悪影響が出るのではないかと心配し、痛みをこらえてきた。「子どもを連れて病院に行くのは大変だし、市販薬を使うのは怖い。この子のために我慢するしかないと思った」
 授乳中、薬の服用をためらう母親は多い。仙台医療センターが2014年、妊婦144人を対象に行った調査では、約8割が、服薬しながら授乳できる可能性があることを知らなかった。授乳を中断すると、その後、母乳が出づらくなったり、乳腺炎になったりすることもあり、服薬を諦める人も少なくない。
 これに対し、国立成育医療研究センター(東京)にある「妊娠と薬情報センター」の肥沼(こいぬま)幸さんは「多くの薬が授乳中も安全に使用できると考えられている」と話す。薬の成分は母乳に移行するが、多くの薬は移行量がごくわずかで、赤ちゃんの健康に影響する可能性は極めて低いという。
 同センターのウェブサイトでは、安全と考えられる薬の一覧を掲載。「特に慢性疾患のある場合、母親の体調を安定させることは赤ちゃんのためにも重要。一過性の症状でもつらいときには、服用を選択肢の一つとして考えて」と肥沼さん。ただし、自己判断ではなく、医師や薬剤師に相談するよう呼び掛けている。
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子のアレルギー予防で食事制限も不要

 授乳中の食事も気を使うところだ。インターネット上には、子どものアレルギー予防のために小麦や乳製品、卵など特定の食材を控えるよう勧める書き込みもある。近畿大病院院長で呼吸器・アレルギー内科が専門の東田有智さんによると、過去には食事制限をするよう指導していた時期もあったが、現在は因果関係がないことがわかっているという。
 厚生労働省も授乳と離乳に関する手引の中で、子どものアレルギー予防のために、妊娠中や授乳中の母親が食事を制限する必要はないと明記。子どものアレルギーが疑われるときには、授乳中の食事制限が必要な場合もあるが、必ず医師の診断に基づいて行うこととしている。
 食事と乳腺炎との関係も話題になりやすい。岡山大病院が開いている母乳育児相談室では、参加者から「乳腺炎の原因は前日にケーキを食べたせいか」「脂っこいものを食べると乳腺が詰まりやすくなるのか」といった質問がよく寄せられるという。
 乳腺炎になる理由は様々だが、岡山大の大井伸子准教授によると、母乳の吸わせ方や授乳間隔などに問題がある場合が多く、「食事が直接の原因になるとは考えにくい」。特定の食べ物を避ける必要はなく、バランスの良い食事を心がけることが大切だ。
 十分な水分摂取も必要で、できれば体を冷やす冷たい飲み物より、温かいものが望ましい。大井さんは「栄養価の高い具だくさんの汁物や鍋などがお薦め」とする。アルコールは避けたいが、コーヒーなどカフェインを含む飲み物は1日2、3杯なら問題なく、「好きなものでほっと一息つく時間も大事にしてほしい」と話している。