■ 待機児童減少」の陰に、3歳で保育園を追われる子供たちがいる。先送りにした対策がもたらしたもの。10/5(金) 15:07配信




ハフポスト日本版








3歳の壁

待機児童といえば「0〜1歳で保育園に入れなかった子どもたち」をイメージする人が多いのではないだろうか。もちろんそれも正解だが、じつは0〜1歳で保育園に入れれば万事OK、というわけではない。

(取材・文:菅原さくら 編集:泉谷由梨子 / ハフポスト日本版 )

0〜2歳までの子どもが通う「小規模保育所」の卒園児たちは、3歳以降の預け先が確保できないかぎり、行き場を失ってしまう。

小規模保育所とは、2015年度に施行された「子ども・子育て支援新制度」で生まれた「地域型保育事業」のひとつだ。保育ニーズの高い0〜2歳を、定員6人以上19人以下の小規模施設で保育する。大型の保育園と比べて省スペース・省人員で運営できるため、待機児童解消に大きく役立ってきた。


しかし、小規模保育所を卒業した子どもたちの受け皿は、現状まったく足りていない。この状況は“3歳の壁“と呼ばれている。


多くの家庭ではなんとか仕事を続けるために、無理をして遠くの保育園に通わせたり、保育ニーズが満たされているとはいえない幼稚園に入れる。納得しているならよいが、妥協している場合も少なくない。結果として、その子どもたちはふたたび「待機児童」にカウントされることもなく、問題は目に見えないままだ。
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受け皿の確保は、2019年度末が期限となっている

そもそも小規模保育所には、卒園児が通うための「連携施設の確保」が義務づけられている。だが、新制度施行時はまず、0〜2歳の待機児童を受け入れる施設を増やすことが急務。あとのことは追って、という内情から、連携施設の確保には5年間の経過措置がついていた。その期限が、2019年度末に迫っている。

期限までに連携施設を確保できない場合、都からの認可を取り消される可能性もあるという。そうなれば、多くの園ではいままでどおりに0〜2歳児を預かることすら難しいだろう。

国や自治体は必要なサポートを行うものの、連携施設確保の主体は各小規模保育所だ。それぞれの保育所が、近隣の大型保育園や幼稚園、こども園などに連携を打診するものの、どの施設も定員はいっぱいのため、門前払いも珍しくないという。


待機児童を減らすための施策が、対応を先送りにしたともいえる
東京西部の区をいくつか例にして、概況を見てみよう。

2013年に待機児童数でワースト2位を記録した練馬区は、新制度が決まってすぐに、小規模保育所をどんどん増やした。2016年度に9園、2017年度は13園が新設されている。この2年間は保育サービスの利用児童数増加でもトップ3にランクインし、スタートダッシュの努力がうかがえる。

しかし現在、50園ある小規模保育所のなかに、連携施設が定まっている園はひとつもない。2歳児の定員数から計算して、最大で371人が、来年4月の卒園後に行き場に困る。各小規模保育所と連携候補施設の面談を設定するなど、区としても力を尽くしているようだが、状況は厳しい。

板橋区の小規模保育所数は、現在43園。最大で296人の子どもたちが行き先に悩む。来年度末の期限に向けて、各小規模保育所のサポートを進めているが、厳しさは同様だ。

また、2018年度からは小規模保育所の卒園児に指数を加点するなど、利用調整でのケアを実施するように、内閣府から各自治体に通達もなされたという。

多くの“潜在的な待機児童“を抱える区が目立つなかで、豊島区や渋谷区ではしっかりと連携施設が確保されている。

しかし、小規模保育所がなければ、0〜2歳の待機児童すら減らない現状がある以上、いったん受け皿を増やした練馬区や板橋区が、一概に悪いともいえない