■ 今年のインフルエンザワクチン、いつ受けたらいいの?2017年11月20日06時00分





アピタル・森戸やすみ






 今年のインフルエンザワクチンは、入荷数が少ないと報道されていますね。実際に私のクリニックでもワクチンが少なくて、11月は患者さんたちにホームページでの入荷状況を確認して待ってもらったり、他の医療機関で打ってもらったりしています。ワクチンが少ないと聞くと、受けたくなるのが人情なのか、クリニックのスタッフが毎日、説明の対応に追われています。

インフルエンザワクチン、供給遅れる

  今、ワクチンが少ないのは、インフルエンザのワクチン株を決定するのが遅れ、製造開始が遅くなったためです。インフルエンザワクチンの株は、2016/2017年シーズンから、A型2種類、B型2種類の計4種類の株が入っています。ワクチンは毎年、計画的に作られており、厚生労働省によると、最終的には去年とほとんど変わらない出荷量を予定しています。でも、医療機関に入るのは例年より1-2ヶ月遅くなって12月から1月にずれ込んでしまう恐れがあります。そのため、厚労省が今シーズンは、「13歳以上は1回のみ接種」と呼びかけています。

http://www.asahi.com/articles/ASKB663PZKB6UBQU013.html

 いつものようにワクチンが潤沢にあれば、13歳以上でもハイリスクの人や、受験などでどうしても感染・重症化したくないという人には2回打っていました。そのような人は、それほど多数ではないと思うので、ワクチンの需要にはあまり関係ないような気もします。打ちたい時にワクチンがないと、焦る気持ちになるのもわかりますが、例年のインフルエンザの流行は、12月に入ってからです。



 横軸は1月1日から始まる週が「1週」で、1年間は52週ですから12月は47-48週ごろからはじまりますね。ワクチンの効果は打ってから2週間後くらいから出始めます。入荷してから医療機関ですぐに打てば、大流行の1月後半から2月の時期に間に合うでしょう。ただ、現在でも散発的にインフルエンザにかかった患者さんはいます。「ワクチンが入って来ても、すでにかかってしまったからもう接種はいらないんじゃないか」と思う人もいると思います。今シーズンはAシンガポールH1N1とA香港H3N2、Bプーケット(山形系統)とBテキサス(ビクトリア系統)です。いま散発的に限られた地域で発生しているインフル患者さんが、どの株によるものかはまだわかりませんが、1つにかかった後にまだ残りの3つのどれかにかかることもあります。接種を受けておいた方がいいんじゃないか、というのが私の意見です。

 

 インフルエンザにかかった際の治療薬タミフルが、2017年6月に世界保健機関(WHO)の「必須医薬品リスト」で、保健システムに「必須な薬」から「補足的な薬」に格下げされたのをご存知でしょうか。1977年からWHOは地域住民の健康を守るために必要不可欠な医薬品のリストを公表しています。2009年に新型インフルエンザのパンデミックがあった際に、タミフルは必須な薬になりました。その後の臨床試験の結果、タミフルの服用は症状が軽減するまでの期間を1日弱短縮するのみで、重い合併症を軽減することもないとわかったからです。WHOの専門家委員会は、タミフルの投与は入院患者が重症の時だけに限るべきだ、と言っています。

 普通のインフルエンザには水分を十分に取り、症状を和らげる対症療法の薬を必要に応じて使い、治るまで安静にしているのが一番の治療のようです。お子さんの登園・登校には、発症から5日を経過し、解熱して3日あるいは2日たっていなければいけないという決まりがあるので守りましょう。