■ 月下氷人(げっかひょうじん)  月下美人2009.4.20

月下の老人と氷上の人の意で、婚姻の媒酌人をいう。中国、唐の韋固(いご)という独身者が旅行中、宋(そう)城で、月下に赤い紐(ひも)の出た袋にもたれかかり読書する1人の老人に出会った。韋固がその赤紐の由来を問うと、老人は「縁結びの紐で、これで夫妻の足を結べば、どんな遠くの人でも、敵同士でも、夫婦になるのだ」と答え、韋固の未来の妻を予言した。14年後、韋固は郡主の娘と結婚したが、それは老人の予言どおりの娘であったと、『続幽怪録』が伝える。一方、晋(しん)代に索(さくたん)という名高い占い師があり、そのもとを狐策(こさく)が訪ね、「氷の上に立って氷の下の人と話をした」という夢占いを求めた。すると索は「氷の上下は陰陽であるから、それはあなたが結婚の媒酌をするという前兆だ」と判じた。のち狐策は大守の息子の仲人を勤めることとなったと、『晋書(しんじょ)』「芸術伝」は伝える。

[執筆者:田所義行]


月下氷人は昔の言葉で、今は死語になりつつあります。
月下美人はサボテンの一種で夏の夜に美しい幻想的な花を咲かせます