■ 病原体の暴れる場所

無数の病原体が無数の病気や症状を起こさせます
なぜなのでしょうか
それは病原体によって活躍する場所が決まっているからです
インフルエンザの場合、活躍する場所は気道、それもふつうのインフルエンザウイルスは上気道です。のどに始まる気道の上半分の場所が彼らのステージです。
インフルエンザウイルスはまず上気道の粘膜にくっつくことから仕事を始めます。
彼らは上気道の細胞の表面にあるプロテアーゼという酵素によりHAが動き始めた後(開裂)シアル酸とくっつきます。すると細胞の扉が開いて細胞の中に入り込みます。
そして細胞の中で自分のコピーを大量に作り出し細胞を破壊し、次々と隣の細胞に入り込み、同様な働きで細胞の破壊を起こします。しかし血液の中に入ってほかの場所で暴れることはあまりしません。とにかく上気道を中心とした気道の表面の壁を徹底的に破壊しようと暴れます。その結果、ひどい咳、発熱、それによる関節痛、倦怠感などが中心の症状となって現れます
また、上気道に常在する細菌(肺炎球菌やインフルエンザ菌)がここぞとばかりに気管支や肺の内部に侵入してきて暴れ始め、気管支炎や肺炎を起こさせます

麻疹の場合は、麻疹ウイルスは上気道から侵入しますが、上気道の壁を破り、すぐに白血球に取り付いて血液の流れに乗って全身に広がります。そしていろいろな臓器に損傷を与えるのでいろいろな症状が現れやすくなります。
初めに白血球(t細胞のslamnから侵入します)を痛めつけていますので、体の抵抗力が極端に低下していて、特に肺を攻撃することが多いので肺炎が起こりやすくなります

風疹も同様に全身に広がりますが、臓器に与える損傷はあまり大きくありませんので症状も一般のカゼのようになります。しかし本当のターゲットは胎盤を通って襲う赤ちゃんです。
いわゆる先天性風疹症候群を起こすのです。

おたふく風邪の場合は全身の腺組織(耳下腺や唾液腺、生殖腺、すい臓、)や神経細胞を標的にします。ですから単に顎が腫れて痛くて終わる病気ではなく、時には髄膜炎や難聴、などの深刻な後遺症を残すことがある全身の病気であることを知っておかなければ後悔することになります

B型肝炎ウイルスは肝臓の細胞を好み、水痘やヘルペスウイルスは神経細胞を好みます