■ パンデミック

2009年のインフルエンザウイルスのパンデミック騒動からちょうど10年がたちます。
当時高病原性鳥インフルエンザが問題になっていましたので、すわ鳥インフルエンザのパンデミックか、と世界中がパニックになりました。
結果は「豚インフルエンザ」で毒性は通常のインフルエンザとさほど変わらず、やれれで終わりました。
しかしこの現象は、インフルエンザがいかに恐ろしいものであるか再認識させる絶好の機会でした。
たまたま豚のインフルエンザであったというだけで、もし病原性の高いインフルエンザでしたら、何億人の死傷者が一年で出ても不思議はなかったのです。

ところでなぜ豚だったのでしょうか

インフルエンザウイルスはもともと鴨のウイルスです。ウイルスが感染するにはレセプターが必要です。ウイルスによってそのレセプターが決まっていますが、インフルエンザウイルスの場合、レセプターが鳥だけではなく、くじらや豚、人間など、種を超えて広がっています
これがインフルエンザウイルスの恐ろしいところです。とくに豚は鳥と人間のレセプターを持っているので、どちらのインフルエンザウイルスの標的になります。
前回のパンデミックの原因は、鳥と豚と人間のインフルエンザウイルスの遺伝子が再集合リアーサントを起こし、新しいインフルエンザウイルスが豚の中で流行を起こしていたのが、別の地域の豚インフルエンザとさらに遺伝子再集合を起こし、それが人間に感染して2003年のパンデミックを引き起こしたと考えられています