■ HA赤血球凝集素と遺伝子再集合;リア ソータント

インフルエンザは「よく型が変わる、変異する」と言われます
これはインフルエンザウイルスが増殖能力がとても強いため、コピーミスを起こしやすいことがあります。(ヒトの1000倍と言われています)
毎年少しずつ形が変わる連続変異といわれる小さなHA赤血球凝集素の変異はこれが原因です
また、大きなHAの変異:不連続変異は、二つの異なるウイルスが一つの宿主細胞に重複感染すると、8本のRNA遺伝子の組み合わせの異なるウイルスが産生される「遺伝子再集合;リア ソータント」が原因です。
いわゆるパンデミックはこの仕組みからおこるとかんがえられています


ではHA赤血球凝集素とは何でしょうか
文字通り赤血球を凝集できる成分ですが、インフルエンザウイルスの場合、このHAがヒトの細胞の表面にあるシアル酸にくっつき、細胞への侵入の入り口になります。
インフルエンザウイルスのHAは3本の糖たんぱく質からなり、各1本が2本のサブユニットから作られています。インフルエンザウイルスの遺伝子のRNAの4種類の塩基からアミノ酸がつくられ、それらがつながりたんぱく質ができていきます。
この塩基のコピーミスが結果として異なるたんぱく質を作り出すことになりHAの構造が変わっていきます。これが小さければ連続変異、大きければ不連続変異となります

現在使われている不活化インフルエンザワクチンは、このHAに対する抗体をあらかじめ作っていおいて、インフルエンザウイルスのHAが働かなくしようとするものです