■ 抗原と抗体

免疫反応で、抗原と抗体は詳しく説明すると、一対一の対応ではありません。
ある抗原に対して対応する抗体はいくつかあるのが普通です。
抗原の中にある部分(エピトープ)には一つしか対応する抗体はありませんが、このエピトープをいくつか持っている抗原は、複数の抗体に対応していることになります
これをポリクロナール抗体と呼びます
一方、ある特定の部分エピトープに対応する抗体だけがたくさん作れたら、副作用も起こることが少なくなりますし、それがもし人と同じ抗体であるなら理想的です。
これらをモノクローナル抗体といいますが、初めは人の抗体と近い抗体(ヒト化免疫グロブリン)が作られていましたが、遺伝子工学の発展につれて人と同じ成分の抗体が最近作れるようになってきました
これらは「抗体医薬」として現在医学界でもっとも熱い分野となっています
ビジネスとしても巨大な利益を生み出しますので世界の医薬品業界は「レッドオーシャン」に突入しています

近年話題になった抗がん剤オブジーボもその一つです
免疫チェックポイントであるPD-1という部分に対するモノクローナル抗体の抗体医薬です
抗体医薬は抗がん剤としてもっとも開発が進んでいる一方、感染症に対してはあまり開発が進んでいないのが現状です。
その理由は、ワクチンが普及して感染症が劇的に減ったため、需要があまりないためです。抗生物質の開発もその影響で開発が進まなくなってしまいました。
ワクチンの力はあまりにも絶大なので、その恩恵をあまり感じなくなっているのが
今の日本の現状です