■ 抗体と免疫グロブリン |
血清療法の抗毒素はまさに毒素に対する抗体でした。 抗体とは抗原に対する用語で、ある成分に対してくっついて、いろいろな働きを引き起こすものを指しますが、その本体は「免疫グロブリン」というリンパ球が作るたんぱく質です。 血清療法の抗体は当時馬の抗体でしたので、免疫グロブリンの構造が少し違うため、この馬の抗体に対する抗体ができてしまい血清病が起こってしまいました。 現在では「ヒト破傷風免疫グロブリン」といいう破傷風の免疫をもつ人の血清を集めたものが使われています 同様の製剤がB型肝炎の免疫グロブリンや抗D人免疫グロブリン製剤(Rh血液型不適合妊娠による新生児溶血性黄疸の予防)です。 これらは「特殊免疫(高度免疫)グロブリン製剤」といい、ある病気に対する抗体を持った人の血液から作られたものです。 一般の免疫グロブリン製剤はたくさんのふつうの人の血液から作られたもので、以下のようなものがあります (1)筋注用免疫グロブリン製剤 最も古くからある製剤で、現在では麻疹(はしか)やA型肝炎などに限って使用れ ています。 (2)静注用免疫グロブリン製剤(IVIG=Intravenous Immunoglobulin) 現在、最も多く使用されている免疫グロブリン製剤で、様々な処理により、静脈注射を可能にした製剤です。 無または低ガンマグロブリン血症、重症感染症、発性血小板減少性紫斑病(ITP)、川崎病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、ギラン・バレー症候群(GBS)などに使われています、 (3)皮下注用免疫グロブリン製剤(SCIG=Subcutaneous Immunoglobulin) 、無または低ガンマグロブリン血症の患者に使われます |