■ 血清療法のアイデア2014 6 26

破傷風と並んで当時最大の流行病の一つであったジフテリアもその細菌が作り出すジフテリア毒素による病気でした。同じアイデアのジフテリアの血清療法はドイツのベーリングによって開発され、ベーリングは第一回ノーベル賞を受賞しました
破傷風ワクチンもジフテリアワクチンも病気を引き起こす細菌そのものには効果がありません。これらは抗生物質を使えば治療できます。破傷風、ジフテリア両者の本体はその産生する毒素にあり、できるだけ早く毒素の効力を失わせることが最善の治療です。
これらが作り出す毒素を中和する方法、それが血清療法でした。
動物(体が大きいので馬が使われます)に毒素を注射し抗毒素(抗体)を作らせ、その血液の上澄み液(血清)を集めて人間に注射すれば患者の毒素を中和できて治療できる、これが血清療法と呼ばれるものの始まりでした。
免疫学的には「受動免疫」といいます。この考え方は現代もっとも脚光を浴びている抗体医薬の開発につながっています
一方、普通に行われている破傷風やジフテリアのワクチンは、あらかじめ少量の毒性のない毒素(トキソイド)を注射しておき、自分の力で毒素に対する抗体を作っておき(能動免疫)病気に備えるものです