■ インフルエンザワクチンの種類

インフルエンザワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンがあり、不活化ワクチンには全粒子ワクチンとスプリットワクチンがあります
全粒子ワクチンとは、殺したインフルエンザウイルスそのものであり、スプリットワクチンとは殺したインフルエンザウイルスをばらばらにして有効成分を取り出したものです。
効果としては、生ワクチン、全粒子ワクチン、スプリットワクチンの順に良いのですが、その分副反応も多くなります
また、インフルエンザウイルスは姿を変えやすい(変異といいます)ので、せっかく適度に弱くて効果があるウイルスを使った生ワクチンを作っても、実際に流行するタイプと異なると効果が減ってしまいます。そのため、昨年度の米国のインフルエンザ生ワクチンは推奨されませんでした。今年度の生インフルエンザワクチンは良いようです。
(日本ではインフルエンザ生ワクチンは作られていません)
また、全粒子ワクチンは鳥インフルエンザのパンデミック用に備蓄されている以外使われていません。
スプリットワクチンは現在日本で接種されているHAワクチンが代表的です
副反応が少なくある程度効果がある、ということで採用されていますが、これも近年は、卵を使って製造中にインフルエンザウイルスが変異をするため「外れる」ことが問題になっています


(卵馴化

生物が異なった環境に移されて、次第にその環境に適応するような性質に変わることを「馴化(じゅんか、順化)」といいます。ウイルスを生物と呼ぶには疑問のあるところですが、インフルエンザウイルスは発育鶏卵(孵化鶏卵)内での増殖能力が低いため、ワクチン株に使用するには長期間にわたって、発育鶏卵での継代培養を続けて、「馴化」させなければなりません。)