■ HAワクチンとは

現在主流のインフルエンザワクチンは「HAワクチン」と言われるものです
インフルエンザウイルスの一部を集めたスプリットワクチに属し、HAに対する抗体をあらかじめ用意しておき、インフルエンザウイルスの侵入に対抗しようとするものです

なぜHAでしょうか
HAとはヘマグルチニンというたんぱく質の一種で赤血球(ヘム)を凝集(グルチン)する働きがあり、インフルエンザウイルスの表面に突起のように飛び出していてインフルエンザウイルスの病原性に大きく関係しています
インフルエンザウイルスは人体ののどや鼻に入ってまず粘膜にくっつかなければなりません。それには初めに粘膜や気管支、胃腸にあるプロテアーゼという酵素によってHAの蓋が取れて活性化されることが必要です。その後粘膜の表面にある受容体のシアル酸という部分(受容体、レセプター)に接着することができます。すると人間の細胞は接着したウイルスを自動的に細胞内に取り込む作業を始めますのでそこからウイルスの侵入が開始されます

HAワクチンはこのウイルスのHAという突起の活性化と接着を防ぐ目的でつくられています

このようにウイルスは人間に強引に侵入してくるのではなく、ただふらふらとやってきて、ある決まった場所の細胞の表面にくっつくだけなのです
ウイルスによってくっつき方やくっつく細胞が異なっているので、病気の症状が異なっているのです