■ ワクチンの有効期間

痛い目をしてせっかく受けたワクチンもいつまで効果があるのでしょうか


国立感染研究所の資料より


「2015年度の調査において, 麻疹の抗体保有率は2014年度調査に続き2歳以上のすべての年齢/年齢群で95%以上を示し, 高い接種率・抗体保有率が維持されていると考えられた。麻疹の排除状態を維持するためには, 今後も高い接種率・抗体保有率を維持することが重要である。一方, 風疹については30代後半〜50代の男性における抗体保有率はいまだに低く, 2020年度を目標とした風疹排除達成を実現するためには, 定期接種対象年齢における接種率・抗体保有率の維持に加えて, この年齢層の感受性者対策が非常に重要である」


ここでいう抗体保有率は病気の発症を予防できるほどの抗体を意味していません。
とりあえず免疫を持っている人の割合、という意味です

その証拠に何年に一回風疹、麻疹の流行が未だに繰り返されています

しかしワクチンの効果は、一度抗体が上がるとかなりの長期間続くことは間違いないです
ただしワクチンで病気の流行が収まると、免疫への刺激の機会が減りますので、年齢とともに病気を発症する可能性が高まっていきます



厚労省の海外渡航者用のサイトから

破傷風

破傷風菌は世界中の土壌の至る所に存在し、日本でも毎年患者が発生しています。破傷風は傷口から感染するので、冒険旅行などで怪我をする可能性の高い人におすすめするワクチンです。特に、途上国では、けがをしやすく、命に関わることもあるので、接種を検討してください。
破傷風ワクチンは1968年(昭和43年)から始まった3種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日せき)に含まれていますので、定期予防接種で破傷風・ジフテリアワクチンを12歳の時に受けていれば、20代前半位までは免疫がありますので、接種は不要です。その後は、1回の追加接種で10年間有効な免疫がつきます。

A型肝炎

A型肝炎は食べ物から感染する病気で、アジア、アフリカ、中南米に広く存在します。発症すると倦怠感が強くなり、重症になると1か月以上の入院が必要となる場合があります。途上国に中・長期(1か月以上)滞在する人におすすめするワクチンです。特に60歳以下の人は抗体保有率が低いため、接種をおすすめします。
ワクチンは2〜4週間隔で2回接種します。6か月以上滞在するのであれば6か月目にもう1回接種すると約5年間効果が続くとされています。


日本脳炎

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを保有する蚊に刺されることによって起こる重篤な急性脳炎で、死亡率が高く、後遺症を残すことも多い病気です。
流行地(東アジア、南アジア、東南アジア)へ行く人におすすめするワクチンです。ワクチンは1〜4週間間隔で2回接種し、1年後追加接種を1回します(基礎免疫が完了)。基礎免疫の完了後は、1回の接種で4〜5年間有効な免疫がつきます。



黄熱

黄熱は蚊によって媒介されるウイルス性の感染症で、致死率は5〜10%ですが、流行時や免疫をもたない渡航者などでは、60%以上に達するという報告もあります。アフリカや南米の熱帯地域に渡航する人におすすめするワクチンです。黄熱予防接種証明書を入国時に要求する国や、乗り継ぎの時に要求する国もありますので、検疫所で確認して下さい。黄熱予防接種証明書は接種後10日目から生涯有効です。

ジフテリア

ジフテリアは、患者の咳などにより、人から人に感染します。
ロシア、東ヨーロッパに長期間行く人におすすめするワクチンです。
ジフテリアワクチンは1968年(昭和43年)から始まった3種混合ワクチン(ジフテリア、百日せき、破傷風)に含まれています。定期の予防接種で2種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風)を12歳の時に受けていれば、20代前半くらいまでは免疫がありますので、それまでは接種は不要です。その後は、1回の追加接種で10年間有効な免疫がつきます。