■  数字のマジック  有効率


よく「有効率」という言葉を耳にしますが、誤解されやすい数字です
例えば、インフルエンザワクチンの有効率30%といわれれば、100人ワクチンを受けても30人にしか効果がないのだ、という印象を与えますが全く意味が違っています。
全体から見ると毎年ものすごい数のインフルエンザにかかる人がいますが、その中でインフルエンザワクチンを受けていなくてインフルエンザにかかってしまった人の数を、もしワクチンを受けていたら30%減らすことができる、という意味です。これを少ないと考えるのか多いと考えるのか見る人によって違ってきます。(総患者数がたくさんいるので私は多いと考えますが)
そのうえ背後には、インフルエンザワクチンを接種してもしなくてもインフルエンザにかからなかった人が膨大な数ほどいますから30%の数を実感できにくくしていることも現実にはあります。
また、「インフルエンザに罹った人が100人いて、そのうち70人がワクチンを受けていました」という表現もワクチンがあまり効果のないような印象を与えます。
もともとインフルエンザワクチンはインフルエンザの発症よりも重症化を防ぐことが目的にしていますから、かかった70人がどのくらいの症状で済んだかが重要になってきます ここで有効率を30%とすると、インフルエンザワクチンを打たなかった30人がワクチンを受けていたとすると9人がかからなかったことになり、また重症になる人を何人か防ぐことができたかもしれません。
他のワクチンでも「有効率」が算出されていますが、これらはあくまで仮の数字であり「有効性」とはまったく異なります