■ 抗菌剤耐性菌はどのようにして生まれるのか

細菌が抗菌剤に抵抗するようになるのはどうしてでしょうか。
まず細菌が増殖する間に突然変異を起こし、抗菌剤を壊してしまう成分を作り出してしまうことがあります。あの有名なペニシリンが真っ先に耐性菌を生み出したのは細菌がペニシリナーゼという物質を作るように変異したからです

また、細菌の体の表面を作るときに働く酵素(PBP)が少し形が変わることによって、これを標的にしている抗菌剤が効果を失うことも出てきました
なぜそのような酵素が生まれたのでしょうか
突然変異もありますが、もともと細菌が持っていた遺伝子が働き始めたことが考えられます
本来抗生物質というのはある病原微生物がほかの病原微生物に対抗するために作り出す物質です。ですからその作り手の微生物は自分で作った抗生物質に抵抗できるシステムを備えているはずです。そのシステムの遺伝子情報が何らかの形でほかの細菌に伝わってしまうとその細菌は抗生剤に強くなるのでしょう

細菌からほかの細菌に遺伝子情報はいろいろな形で伝わることがわかっています
安易に抗菌剤を使っていると抗菌剤に強い細菌だけが生き残り、その細菌が持つ遺伝子情報がほかの微生物に伝播しいわゆる「耐性菌」を作り出しています
最近強化された抗菌剤の使用の適正化の動きは以上のような背景があるのです