■ ワクチンはまず個人防衛

病気が大流行している場合は、とりあえずその病気を押さえ込まなければなりませんので、集団に短時間でワクチンを接種し、病気の広がりを抑え込むことが第一の目標になります。
しかし、ワクチンの普及とともに対象となる病気が少なくなり、それとともにワクチンの副作用の方が目立つようになってきた場合、集団接種よりも個人接種が重視される方向に向かいます。
現在の日本はほとんど個人接種で行われるようになっています。
よく集団免疫は集団接種により、個人免疫は個人接種により行われ、別々に考えられることがありますがこれは必ずしも正しい事ではありません。
個人と集団は別々のものではなく、いつも密接に関係していて、個人は社会の一員である限り、個人がワクチンによって免疫をつけるかつけないかという問題は、社会全体が病気に対して免疫を持てるかどうかという問題にも関わってきます。
と言い出すとワクチンの接種の是非がわからなくなってしまいますので、
あるワクチンを打つ時にはまず自分の身を守るという個人防衛の意味を第一に考え、そのワクチンを打つことによって自分の周りにどれだけ影響があるのかも少し考えてみてみてはどうでしょうか

例えば、風疹のワクチンについて考えてみましょう。
風疹は名前のように、かかっても何も症状が出ないかあっても風邪のような症状と小さな発疹が出る普通は軽い経過で済む病気です。
特別な治療する薬はなく、自然に治ってしまう病気ですが、問題は、この風疹ウイルスが妊娠している初期のお母さん方にかかった場合、そしてその人たちが抗体を持っていないとき、お腹の中の赤ちゃんにこの風疹ウイルスが影響していわゆる先天性風疹症候群を起こす確率が非常に高くなることです。
妊娠する可能性がある女性は風疹ワクチンの接種率が男性に比べてt高いのですが、それでも、接種したにもかかわらず、風疹の免疫が十分についていなかったり、以前接種したワクチンの効果が年齢とともに低くなってきたりしていたりして風疹にかかってしまうことがあります。
この場合、風疹のワクチンは女性にとっては個人防衛の面が強いのですが、男性は社会で暮らす女性に風疹をうつさないという、集団防衛の面が強調されてもいいと思います。