■ ワクチンの陰

ワクチンの製造技術と副反応

ワクチンの製造技術の発達は著しいものがありますが、その途上には痛ましい歴史が刻まれています

カッター社事件

1955年アメリカ

カッター社というワクチン製造会社のポリオワクチンによって起こった事件
ウイルスの不活化が不十分なため、生きたウイルス
が残っていて40万人の接種のうち、204名の患者が発生、11名死亡

1930年  
リューベックBCG事件
BCGを製造するときにヒト結核菌が混入

1948年 日本
京都ジフテリア事件
ジフテリア毒素が十分不活化されていなく(毒素が残っていた)またそれが国の検定をすり抜けてしまっていて起こった事件


68人が死亡、500人以上に副作用の被害が残る

しかも、11月、すでに京都での予防接種で死者が出ているにもかかわらず、島根で同じ
製薬メーカーの作ったワクチンが使用され、死者16人、被害者324人を出してしまう。

京都・島根を合わせると、死者84人、被害者は1000人近い

ちなみに同年7月「予防接種法」が制定施行され、予防接種を受けることは「国民の義務」

とされていました

また百日咳ワクチンにも品質による大きな問題が過去におこっています



1940年代に国内で年間10万人以上が百日咳に罹患し,その10%が死亡していました。
1968年にDPTワクチン(ジフテリア+百日咳+破傷風)が定期接種として導入後,患者数は激減しました。しかし,1975年にワクチン接種後に2人が亡くなったため,DPTワクチンの接種は中止されました。
3か月後に再開されたものの,接種率は大幅に低下し,1979年には年間1万3000人の患者と40人以上の死者が報告される結果となりました。
それまで使われていたのは、百日咳菌をそのまま不活化する全菌ワクチンでしたので、百日咳菌の一部のみを利用した現在の無細胞性DPTワクチン(DTaP)が開発されました
1981年にDTaPの接種が開始されると1988年ごろには以前の500人前後の発症数にもどりました

これらの事件は、製造技術の未熟さと製造されたワクチンの安全性をチェックする仕組みの未整備によるものでした
現在は製造技術は格段に進歩し、製造会社だけではなく国家検定という国による厳しい品質管理体制が整っていますのでとても安全なワクチンになっています



B型肝炎訴訟
かつて同じ注射器を使って予防接種をすることが普通に行われていました
今から思うと驚くべきことですが当時としては当たり前でした
ウイルスというもの自体がまだどんなものかわかっていなく、情報の共有システムが乏しかったからです
これが医学と言うもので、いつの時代でも完璧ではありません
今の医学でも30年後には多くの誤りが認められる可能性があります


厚労省の対応

B型肝炎訴訟について(救済対象の方に給付金をお支払いします)
〜過去の集団予防接種等により、多くの方がB型肝炎に感染した可能性があります〜
 国内のB型肝炎( ウイルス性肝炎)の持続感染者は、110〜140万人存在すると推計されています。 このうち、昭和23年から昭和63年までの間に受けた集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査)の際に、注射器(注射針または注射筒)が連続使用されたことが原因でB型肝炎ウイルスに持続感染した方は最大で40万人以上とされています 。

※予防接種の際の注射器の交換については、昭和33年から注射針を、昭和63年から注射筒を、予防接種を受ける人ごとに取り替えるよう指導を徹底しています。
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集団予防接種等によりB型肝炎ウイルスに感染した方に給付金を支給します
 この給付金は、7歳になるまでに、集団予防接種等(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に限る)の際の注射器の連続使用により、B型肝炎ウイルスに感染した方と、その方から母子感染した方(これらの方々の相続人を含む)に対して、病態に応じ50万〜3600万円等をお支払いするものです。

 給付の対象となる方の認定は、裁判所において、救済要件に合致するかどうか、証拠に基づき確認していくこととなります。このため、この給付金を受け取るためには、国を相手とする国家賠償請求訴訟を提起して、国との間で和解等を行っていただく必要があります。

これまでの経緯
 幼少期に受けた集団予防接種等で、注射器が連続使用されたことによってB型肝炎ウイルスに持続感染したとされる方々が、国に対して損害賠償を求めて集団訴訟(B型肝炎訴訟)を起こしました。この訴訟については、裁判所の仲介の下で和解協議を進めた結果、平成23年6月に、国と原告との間で「PDF 基本合意書 [713KB]」及び基本合意書の運用について定めた「PDF 覚書[213KB]」を締結し、基本的な合意がなされました。

 さらに、今後提訴する方への対応も含めた全体の解決を図るため、平成24年1月13日から、「PDF 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法 [181KB]」が施行され、裁判上の和解等が成立した方に対し、法に基づく給付金等を支給することになりました。
 なお、20年の除斥期間が経過した死亡・肝がん・肝硬変(重度)、肝硬変(軽度)の方との和解については、平成27年3月に、国と原告との間で「基本合意書(その2)[94KB]」を締結し、合意がなされました。
その後、20年の除斥期間を経過した死亡、肝がん、肝硬変(重度)、肝硬変(軽度)の方々に対しても給付金を支給することを規定した「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律」が平成28年8月1日に施行されました。