■ 胃食道逆流症


東京慈恵会医科大学 外科学講座



正常では、食べ物は胃から食道には逆流しないようになっています。そのため、人間は逆立ちしても嘔吐することはありません。しかし、この逆流防止機構が機能しなくなると、食べ物や胃酸が食道に逆流してしまいます。この胃の内容物が食道へ逆流してしまう現象を胃食道逆流現象といい、それに伴って症状が出てしまうものを胃食道逆流症といいます。症状としては、成人では胸焼けなどの自覚がありますが、小児では嘔吐を繰り返したり哺乳後にゼコゼコしたり気管支炎や肺炎を繰り返すなどの症状がみられます。突然死症候群の原因のひとつと言われています。ミルクや母乳を飲んでいる赤ちゃんには胃食道逆流症は時々みられることがありますが、食道や胃の発達が未熟であることが原因であり、成長とともに治ってしまうことがほとんどです。

小児の胃食道逆流症の診断のためには、上部消化管造影で直接逆流を確認するか24時間pHモニターで胃酸の食道への逆流を確認します。また、場合により内視鏡検査で直接食道炎の有無を確認します。生まれてすぐのお子様に発症した胃食道逆流症の場合は、ミルクを粘調なものに変えたり、離乳食を早めに与えるなどの食事の投与の注意を行いつつ、成人と同様な胃酸の分泌を抑える薬をのませたり、胃の動きを良くする薬を併用したりします。1歳過ぎても軽快しない場合や治療を行っても肺炎を繰り返したり、成長障害がみられる場合は、成人と同様に、腹腔鏡を用いた胃噴門形成術を行います。

また、重症身体障害児(者)によくみられる病気ですが、胃瘻の作成と一緒に腹腔鏡手術を行っています。食事が食べられない(チューブによる経管栄養が必要)患者さんで胃食道逆流がない方は内視鏡下に胃瘻の造設も行っています。