■ ワクチンがなかったら  ポーリーの巻

ポリオ(小児麻痺、といわれますが大人にも起こります)のウイルスをばらまく悪党ポーリー。彼らは人間の腸の中で仲間を増やすとある者は血液の流れに乗って脊髄にまで進んでゆき、前角運動神経細胞という部分を破壊します。このため筋肉を動かすことができなくなってしまう治療の方法もない恐ろしい病気ポリオを起こしてしまいます。
この悪党の絶滅作戦を世界展開しているWHOは着々と成果を上げつつあります。
今年でポリオが流行しているのはアフガニスタンとナイジェリアの2カ国となりました。
そのアフガニスタンでもことしのポリオ患者は昨年の28件から12件、パキスタンは306件か32件へ大きく減少していて、アフガニスタンでは不活化ポリオの導入が始まりました。ワクチンがいかに大きな効果をもたらしているか実証されています。
また日本ではかつて1960年に年間5600人の患者を出した大流行の歴史がありますが、その時に旧ソビエト連邦からの緊急生ポリオワクチンの輸入と全国一斉接種により急速に流行は沈静化して1980年を最後に野生株によるポリオ患者の発生はなくなりました。現在は不活化ワクチンの接種になっていますのでポリオワクチンのウイルスによるポリオの発生もなくなるでしょう。
しかし油断は禁物です。
その理由の一つがいわゆるポリオには感染しても症状が出ない不顕性感染の人がが90%以上いることです。つまり一見いなくなったように見えてもどこかに身を潜めて隠れていて、一旦ポリオの発生がなくなった国に輸入されて流行を起こす可能性が大きいのです。実際ポリオの輸入国は20カ国以上ありましたが、ポリオワクチンの接種率が高い国ほどポーリーの暴虐を未然に防ぐことができました。また、世界的にはまだ生ワクチンがたくさん使われていますので、ワクチンのウイルスが再び強毒化して暴れだす可能性があります。
日本も国内のポーリーがいなくなっても外国から侵入する機会も増えています
ですからまだまだポリオワクチンの接種は必要なのです