■ 出版社をはじめとしたメディア関係者にもお願いしたいことがある。医療に関する情報は人の命を左右する。我々医師が安易に処方した薬が人を殺すことがあるのと同様に、あなたがたが安易に発した言葉が人を殺すことがある。その責任を自覚していただきたい。2018 1 18

NATROM / 内科医



医療に関する情報は人の命を左右する 



誤りを指摘するのとは異なるアプローチが必要で、医師の立場からは、個々の患者に対して丁寧に診療し信頼を勝ち取るぐらいしか思いつかない。ワクチン接種後になにか良くないことが起こったとき、ワクチンのせいかもしれないと患者が感じるのは自然なことである。医療者は患者の話をよく聞いて適切に対処しなければならない。患者がニセ医学になびく原因の一つが不適切な慣行医療にある(副作用対策の不十分な抗がん剤治療が「がん放置療法」を招いたように)。医療のレベルを上げることがニセ医学対策になる。



私は、私自身が受けたいと思う医療を患者さんに勧めている。ワクチンについてもそうだ。インフルエンザワクチンは毎年受けているし、B型肝炎ワクチンは医学生のときに接種した。近藤誠氏の著作の出版に関わった人たちはどうか。氏の主張、たとえば「がんは治療せずに放置せよ」を実践しておられるのだろうか。



出版社をはじめとしたメディア関係者にもお願いしたいことがある。医療に関する情報は人の命を左右する。我々医師が安易に処方した薬が人を殺すことがあるのと同様に、あなたがたが安易に発した言葉が人を殺すことがある。その責任を自覚していただきたい。