対症療法

 

咳がひどいときに咳止めを、お腹が痛いときや下痢がひどいときに 痛み止めや下痢止めが処方されることがあります。 このような薬の処方を対症療法といいます。 苦しいときに患者の苦しさを和らげることは医者の務めですが 対症療法がいつも正しいとは限りません。

咳や下痢は人の体の中に入り込んだり溜まっている悪いものを体の外に 出そうとする人の防衛反応です。 これを強く止めることは病気を長引かせることにつながるだけではなく、 時には症状をより悪くしてしまう可能性があることを知っておくことが必要です。

咳の場合、痰がたくさんたまった状態の咳(湿性の咳)に咳を直接止めるはたら きを持つ咳止めは原則として 処方しません。一方痰があまりない咳(乾性の咳)の場合は咳止めがとても役に 立つことがあります。

下痢のときも同様で、下痢止めによって腸の動きがおさえられ、かえってお腹の 痛みがひどくなったり 病気が悪化することがあります。

ですから医者は聴診器で胸の音をきいて胸の状態を調べたり、お腹を診察して 腸の状態を調べてしたりするのです。