■ 小児の鉛中毒:古い電子機器が原因になる可能性


提供元:
HealthDay News
公開日:2015/08/24

 古い電子機器やリサイクル機器を扱う作業者は、子どもの鉛中毒リスクを上昇させる可能性があると、専門家らが警告している。

 米シンシナティ小児病院医療センター(オハイオ州)のNick Newman氏によると、1歳と2歳のきょうだいの鉛中毒の原因を追跡したところ、電子基板リサイクル会社に勤務する父親に原因があることがわかったという。この父親は旧型のテレビやパソコンモニタの構成部品である鉛ガラス製の陰極線管を破砕する作業に関わっており、皮膚、髪、靴、衣類などについた毒素が作業場から家に持ち込まれたことが中毒の原因だった。

 父親は作業時に保護具を装着しておらず、髪の毛に目に見える粉塵がつくことも多かった。幼児らは父親と遊ぶ際によく髪に触れていたという。米国疾病管理予防センター(CDC)発行の「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」に掲載されたNewman氏らの報告によると、定期スクリーニングで2人の血中鉛濃度が許容限界である5μg/dLを大幅に上回ることが判明した。

 鉛は神経系に作用し、鉛中毒になると多動、注意、行動、学習面の障害が生じることがある。鉛曝露の原因の多くは1979年以前に製造された塗料だが、血中鉛濃度上昇の少なくとも30%は別の原因によるものだという。今回の症例では、父親が退職すると3カ月以内に幼児らの血中鉛濃度が大幅に低下したが、未だ望ましいレベルまでは下がっていない。

 比較的新しい取り組みである電子機器の処理およびリサイクルにより、鉛などの神経毒への曝露が増大し、「新たな健康問題」が生じていると、Newman氏はいう。有毒物質を扱う人は家族の曝露を避けるため、以下のような対策を取ることを同氏は勧めている。

・帰宅する前に靴や衣類を取り替える。作業着は家ではなく職場で洗濯する。
・替えの衣類は汚染されないよう作業場から離れた場所に保管する。
・作業場を出る前にシャワーを浴びる。
・毒物や汚染物質を作業場から持ち出さない。

 Newman氏は、医師が親の職業や趣味について尋ねることは、家族との会話のきっかけとなるだけでなく、曝露の一次予防にもなると述べている。
[2015年08月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら