■ 夜尿とN AAIDs | 2014.9.1 |
なぜ、夜間頻尿にロキソニンが効く? 2014/8/25 ●質問 60 歳の男性患者さんについて質問です。夜間に3回以上、排尿のために目が覚めます。ポラキス(オキシブチニン)とパーセリン(アリルエストレノール)を処方しましたが、あまり効きませんでした。先輩の専門医に「腎機能に問題がなければロキソニンを出してみたら」と言われて処方したところ有効でした。どうしてロキソニンが夜間頻尿に効くのでしょうか。(排尿障害に関するFAQ一覧はこちら) 影山慎二氏 かげやま医院(静岡市葵区)院長/1987 年新潟大卒。浜松医科大学病院泌尿器科を経て、2011年から現職。 ■回答 影山慎二氏 バルーン留置中の患者さんが尿意を強く訴える際に、インテバン坐剤(インドメタシン坐薬)が有効であるケースは、多くの臨床医が経験することです。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に、排尿に関係する作用があることは、古くから認められています。 秋田大学の河谷正仁氏(排尿生理の専門家)らの研究では、NSAIDsに、排尿反射を低下させる作用が認められています。また、ロキソニンは排尿に関係する知覚神経にも影響を与え、EP1受容体に対する拮抗作用を持つことから、排尿知覚も低下させます。高知大学(元鳥取大学)の齊藤源顕氏は、ロキソニン使用時の夜間尿量低下を報告しています。以上の報告からロキソニンは、(1)夜間尿量の低下、(2)排尿反射の低下、(3)排尿知覚の低下─などの作用で総合的に夜間頻尿を抑えると考えられます。 金藤博行氏 かねとう腎泌尿器科クリニック(仙台市青葉区)院長/1980年東北大卒。仙台市立病院などを経て、2003年から現職。 ■回答 金藤博行氏 ロキソニンによる夜間頻尿の改善効果に関する作用機序としては、腎での尿産生抑制の他に、下部尿路の交感神経系への作用も考えられています。 尿量減少の機序は、NSAIDsによるプロスタグランジン(PG)産生抑制→腎血管収縮による腎血流量減少+ヘンレループでのナトリウム再吸収増加+抗利尿ホルモン作用亢進→尿量減少です。 従ってNSAIDsの副作用を利用したともいえます。そのため、高齢者では腎機能悪化や体液貯留が心配され、長期投与には注意が必要です。日本排尿機能学会による「夜間頻尿診療ガイドライン」では推奨グレードF(保留)となっています。 ◆このコンテンツは、パートナーサイト「MedPeer」が運営する「症例相談 Meet the Experts」から転載しています。文中の情報は掲載時点のもの。症例相談とは、MedPeer会員の質問投稿に対して、その領域のエキスパートが回答し、症例情報を共有できるサービスです。医師であれば誰でも、このコーナーでエキスパートに無料で質問できますが、MedPeer会員である必要があります。 |